萬夢志(まむし)の呟き

学院長のぼやき

投稿日:2013年11月25日

早稲田大学本庄キャンパスは、東京から80㎞の距離にある。この「間合い」はさまざまなニュアンスを生む。利点もあれば、困ったことに、大学本部とはいろいろ温度差も生じる。

学院長は学術院長会という学校法人内の会議体のメンバーだが、その席次序列は実に低い。学術院長・学部長・研究科長そして大学関係の箇所長が並び、その次が上石神井の高等学院長、本庄高等学院長、そして両芸術学校長となる。総長を中心に両翼に理事連がすらっと並ぶ席に対面する、第三列の端っこ。これが大学内の本庄高等学院の位置を端的に示している。

学院長を引き受けて14カ月が経った。残された任期はあと10カ月ほどである。そもそも、理事会がなぜ私を学院長に任命したのか、実はよく分からなかった。当初総長は何もおっしゃらなかったが、ある時、「大いに本庄をひっかきまわしてください」と言われたから(その時は些かアルコールが入っていたと思う)、ああ、引っかきまわすのが私の使命だったのだ!と、やっと得心した。本庄の教職員、生徒・保護者の皆さまには、大迷惑のことであろうが。

本庄は上石神井に対して、第二学院である。私が大学内で経て来た役職の中で、栄光のキャリアと自讃しているのは、第二文学部教務担当教務主任を務めた2年間(当初の6カ月はまだ助教授だったので、教務主任心得だった)である。いま、第二の学院長として進める施策は、実は万般、第二文学部の教務主任当時の成功体験を基にしている。とはいえ、二文は学部再編により消滅してしまったが(学生はまだ僅かに残存している)。

第二の学校は第一の学校に対し、明確な差別化をはかり、不断の改革を進めなければならないと考える。策は次々と立つるべし。だいたい実現するのは3割である(7割はオシャカになる)。しかし、野球の打率を考えれば、3割打てればオンの字だろう。そのためには、数多くの打席に立つ必要があるわけだ。

しかし、引っかきまわすのは大学本部に対しても同断だ。私を誰だと思っている? 大学の専任教員になった途端、学生ストライキ鎮圧のフロントに立たされた。その時、戦列に並んで最後まで敵前?から逃げなかった人間しか、私は基本的に信用しないことにしている。

早稲田大学の中に本庄高等学院の味方、理解者が乏しいことには、まったく茫然とするばかりである。偉い人々は現場の実情を知らない、知ろうともしない。これはいつの世も、日本の大問題であろうが、諦めるしか仕方がなかろう。そこで下々はどう戦うかだ。


学院長 兼築信行

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