萬夢志(まむし)の呟き

教育の「見える」化

投稿日:2013年11月05日

上石神井の高等学院では、各教科、年間の授業計画がシラバスの形でまとめられて、生徒や保護者に配布されている。生徒たちはきちんと目標を見定め、計画的に学習に取り組むことができる。これは実に優れた教育実践と感心する。

こんにち大学では、しっかりとしたシラバスを提示することが求められている。早稲田大学は、すべての科目のシラバスに動画を付けることを決定、今後初回授業はオンデマンド形式で行うことも推奨されていくという。すなわち科目のサンプル受講が、web上で実現するというわけである。こうした教育内容の可視化は、どんどん進展していくに相違ない。

本庄高等学院でも、如上の上石神井の優れた取り組みを見習って、授業計画の明確な確定ならびにシラバスの作成と公開を進めるよう、教務主任を通じて各教科にお願いしているところである。

大学の附属高校として大きな課題は、高大連携をどのように深化させていくかであろう。確かに大学教員を招いてセミナーが開催されており、生徒は各キャンパスへ見学に出かけ学部説明を受けているし、高校生に開放された大学の科目を受講することも可能である。しかし、これらのことは所詮、大学の情報がより詳細に得られるというに過ぎない。それが本当の、あるいは意味のある高大連携、高大接続なのだろうか?

本庄高等学院はスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けているが、過般の中間評価では「現段階では、当初の計画通り研究開発のねらいをあまり達成していない」と、最低の評価を受けた。その一端に、附属でありながら大学との連携・接続に何ら強みを発揮していない点が指摘された。

早稲田大学はVision150により、新たな中長期的計画のもと更なる改革を推進している。44000名の学部学生を35000名に削減するなど、教育・研究のクオリティを向上させる施策が種々謳われているが、その中に附属あるいは系属校からの推薦進学者はどう位置付けられることになるのか、理事会の戦略は、本職にはまだ見えてこない。いっぽう、推薦決定システムには、内部における機会の「均等」や「平等」を担保しなければならない。

附属校としてどのようにして、基礎学力を保証できる生徒を育て、大学へ全員進学させていくか、極めて重大な局面がやってきている。その方向性を誤らないためにも、また適切な外部評価を得るためにも、教育内容の全面的な公開と可視化、すなわち「見える」化は待ったなしであると私には思えるのである。


学院長 兼築信行

このページの先頭へ戻る

萬夢志(まむし)の呟き
2014年10月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
月別一覧